急性膵炎はその名の通り、突然何の前ぶれもなく激しい痛みに襲われます。お酒を大量に飲んだり、暴飲暴食をしたあとなどに起きやすく、飲酒や食事の数時間後に多く発症します。そのため、就寝中や明け方に痛み始めるケースが多く見られます。
急性膵炎の症状としては、激しい腹痛がみぞおちから左の上腹部にかけて起こります。これはちょうどすい臓の位置といえます。あまりの激しい痛みのためにまっすぐ立っていることができず、エビのように体を前屈させてうずくまる姿勢をとるのが特徴です。
このほか、痛みが背中側に広がる背部痛や、吐き気、嘔吐、発熱なども多く見られます。これらの急性膵炎の症状は安静にして自然に治まるものではないので、速やかに医療機関で適切な治療を受ける必要があります。
急性膵炎はその状態によって軽症、中等症、重症に区別されています、痛みが上腹部に限られており、炎症もすい臓やその周辺に限られている場合を軽症や中等症といいます。これらの急性膵炎はすい臓の細胞がほとんどダメージを受けていないため、適切な治療を行うことで回復することができます。
しかしながら、すい臓の自己消化が激しく進んだ重症の急性膵炎になると、すい臓の細胞が次々と消化され、腹腔内に消化酵素を大量に含んだ腹水がたまるようになります。この腹水が周囲の組織に炎症を引き起こし、全身に影響を与えるようになります。
重症急性膵炎の症状は、激しい腹痛や背部痛、吐き気、嘔吐などに加えて、ショック状態や呼吸困難、神経症状、意識障害など、全身にさまざまな症状が現れます。こうした重症例では急速に容態が悪化する危険性がありますので、迷わずに救急車を呼ぶようにしましょう。