急性膵炎はまっすぐ立っていられないほどの激しい痛みに襲われますが、慢性膵炎は長い時間をかけて徐々に進行するため、現れる症状も病気の進行に伴って変化します。
慢性膵炎を発症し始めた頃は急性膵炎のような激しい腹痛や背部痛に襲われたり治まったりしますが、激痛時の症状だけでは急性膵炎なのか慢性膵炎なのか区別がつきません。また、発症のタイミングも慢性膵炎は急性膵炎と同様に、飲酒後や食後に起こります。
しかしながら、急性膵炎と違って慢性膵炎は治療によって激しい痛みが治まっても、重苦しい鈍痛や、腹部膨満感、さまざまな不快症状が続くのが特徴です。また、慢性膵炎には激しい痛みを伴わずに、鈍い痛みの腹痛が何ヶ月にもわたって続く場合があるほか、痛みがまったくない場合もあります。
慢性膵炎が進行すると、すい臓の機能が低下して脂肪やタンパク質の消化ができなくなるために、消化不良や下痢が起こるようになります。特に下痢便は消化されない脂肪のために白っぽい色になるほか、消化されないタンパク質が腐敗して悪臭を放つようになります。
さらに慢性膵炎が進行してすい臓機能が低下すると、インスリンなどのホルモン分泌にも影響が現れるようになります。特にすい臓はインスリンによって血糖値をコントロールしていますが、すい臓の障害によってインスリンの分泌が行えなくなると血糖値が上昇し、糖尿病を発症する事があります。
糖尿病の症状としては、口が渇いたり、疲れやすくなったりするほか、視力障害や感覚異常などが現れるようになります。