癌手術の前日から当日は緊張したり、不安でいっぱいになったりしますが、手術に備えてさまざまな準備をする必要があります。前日から当日までの流れについて知っておきましょう。
前日までに主治医から手術内容の最終的な説明が行われるほか、麻酔医からは使用する麻酔薬についても説明が行われます。また、手術によっては術後しばらく動けなくなる事があるため、痰の出し方やうがいの仕方などの説明を受けることもあります。
入院してから手術までの食事は、体調を整えるために病院で定められた食事をとりますが、手術当日は胃や腸の中を空にしておく必要があるので、前日から食事が制限されます。基本的には前日の夕食が流動食などで早めに出され、それ以降は一切の飲食が禁止されます。
さらに、胃や腸の内容物をなくすために下剤や浣腸で排便を促します。これらの処置は胃や腸の手術を行う患者だけのように思われますが、術中に便意をもよおしたり、我慢できずに排便してしまうことを防ぐために行われます。
このほか、手術に備えて体を清潔にするため入浴や洗髪を行うほか、手術する部位の皮膚に生えている体毛を剃ることもあります。これは、体毛に付着した細菌による感染を防ぐ目的で行われます。
当日は手術に適した寝巻きか、病院側で用意する手術着に着替えます。また、術中の全身管理をする目的で点滴が行われるほか、再度浣腸をして腸内を完全に空にします。
準備ができたら、移動用のベッドか車椅子に乗って一般病棟から手術室に向かいます。この時点ではすでにメガネや入れ歯など、身に付けている装身具はすべて外しておく必要があります。
手術室に入室すると、まず患者本人の名前を呼んで本人確認が行われます。また、体にネームプレートやリストバンドをつけ、麻酔が効いて本人の受け答えができなくても本人確認できるようにします。麻酔は多くの場合、背骨の間から麻酔薬を入れる硬膜外麻酔が行われます。
全身麻酔が行われると、手術室の天井を見ながら次第に眠気を感じるとともに、視界がぼんやりとして意識が薄れ、手術が終わるまで目が覚めなくなります。麻酔を行った後は、必要に応じて人工呼吸器で酸素を送るチューブや、胃液などを外に導き出すチューブなどが入れられます。
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手術には手術部位によってさまざま方法や手順があるため、流れを一概に説明する事はできませんが、ここでは消化器系がんの開腹手術の基本的な流れについて説明します。
開腹手術は、「メスによる開腹」→「病変部(がん部)の切除」→「必要に応じた再建」→「閉腹(切り開いた部位を縫合する)」といった流れで行われます。
病変部(がん部)の切除は、大きく切除すればするほど再発のリスクを減らす事ができますが、それだけ患者への負担となってしまいます。そのため、再発のリスクと患者のその後の生活への影響を最小限にする切除範囲が考慮されます。
やむを得ず切除し、その臓器が持っている機能が損なわれる場合は、人工的に代替できるような処置(再建)が行われます。
例えば、食道や胃、大腸などの一部を切除した場合は、切除部の前後をつなぎ合わせ、食べ物の通り道を再建します。また、すい臓の一部を切除した場合でも、残ったすい臓が最大限機能できるようにつなぎ合わせたりします。
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